分散型レンディング (Defi)
分散型レンディングは現在。主にETHのスマートコントラクトによって運用されています。このようなプラットフォームはDAppsと呼ばれています。
また、DAppsの中で金融に関するものはDefi(Decentralized Finance platforms)=分散型金融プラットフォームとも呼ばれています。
分散型のメリット
- 秘密鍵を運用者に預けないので取引所リスクが無い
- 人件費などの中間マージンを削減できる(事が多い)
- 基本的に(貸出総額>借入総額の状態なら)いつでも出金可能です。
秘密鍵を預けない
分散型のメリットはこれが一番大きいです。取引所のような場所に自分のウォレットの秘密鍵を渡さないので、取引所のハッキングリスクとは無縁でいられます。
とはいえ、イーサリアムやスマートコントラクトにも開発者が想定していない虚弱性が見つかる可能性もあります。また、サイト上に[Decentralized][Noncustody]と書かれていても鵜呑みにしないリテラシーも必要です。
中間マージンを削減できる
分散型は資産の貸出・借入・返却を全てプログラムでシステマチックに行うので運用者の作業が少なくて済みます。よって、サービス手数料等の中間マージンを削減できます。
分散型のデメリット
- 集権型に比べて利率が低い場合が多い
- 自分の秘密鍵やパスワードを紛失すれば資産を失う
- レンディングできる通貨が限られる
利率が低い場合が多い
現状、集権型に比べて分散型の利率は低い場合が多いです。今後、もっと広く使われていけば利率は良くなるかもしれません。
秘密鍵やパスワードを失うと資産を失う
分散型は秘密鍵を自分で管理する必要があるので、秘密鍵やパスワードを紛失してしまうと取引所などのように回復したり、リセットしたりできません。
アカウント情報をきちんと管理するリテラシーが必要になります。
レンディングできる通貨が限られる
イーサリアムの技術を使っているので、レンディングできる通貨は基本的にETHやERC20トークンに限られます。ただし、BTCの場合はWBTCというERC20化され、BTCにペッグされた通貨でレンディングできるDefiもあります。
Compoundを使ったプラットフォーム
Compound
Compoundは外部ウォレット(MetaMask等)と直接つないでレンディング・借入できる流動性プールのDAppsです。
ブロック生成ごと(約15秒ごと)に複利で預入資産が増えていきます。また、基本的に(貸出総額>借入総額の状態なら)借入・貸出をいつでもキャンセル可能です。
現在は借入、貸出ともに利用するだけでCOMPトークンが貰えます。詳しい方法などは以下の記事をご覧ください。
Dhrama
Dharma当初は「外部へのP2Pマッチングのプラットフォームの提供」でしたが、「独自のP2Pプラットフォーム」を経てようやく今の形に落ち着いたようです。
Web3ウォレットを使用せず、「従来のアドレス・パスワード方式」か「Coinbaseアカウント」でログインして、DAIとUSDCをレンディング出来ます。(金利はCompoundに準拠します。)
機能をシンプルに「貸出」と「引き出し」のみに絞る事で誰でも簡単に使えるのが特徴です。
Argent
「GAS(手数料)が不要のETHウォレット」として登場したETHウォレットアプリです。アプリ内から直接Compoundにレンディングできます。
その他にも「秘密鍵を信頼できる複数人で管理」「ENS(分かりやすいETHアドレス)作成が無料」「1日の最大出金量を制限できる」等便利な機能が備わっています。
Linen
Linenはまだサービスが始まっていませんが、VISAデビットカードを発行する予定のアプリです。Linenアプリにデポジットした分が自動的にCompoundへレンディングされ利息が付く仕組みです。(金利はUSDCの物が適用)
デビットカードなので日本で使えるようになるのはかなり先かもしれませんね。既にwaitlistへの登録が出来るようなので、海外に居住の方で興味のある方は登録してみて下さい。
マージントレードができるプラットフォーム
dydx
dydxはレンディング、借入、マージントレード、現物トレードができるプラットフォームです。私が一番使っているDefiだと思います。
dydxの特徴はなんといっても「トレードの指値をしている間も利息が付く」所です。また、手数料もかなり安く抑えられます。
DAIとUSDC間での「レバレッジを掛けた金利アービトラージ」も手軽に実行できます。
Fulcrum
Fulcrumではレンディングと最大レバ4倍のマージントレードがでます。借入には「torque」というプラットフォームが用意されています。
Compoundやdydxとはまた違ったアルゴリズムで金利計算されています。ZK Labという所によって監査済みのようです。(監査レポート)
DDEX
DDEXはレンディング、借入、マージントレード、現物トレードができます。Defiのなかでは珍しくUSDTに対応しています。
金利が他のDefiに比べて高い時が多いような気がします。PeckShieldという中国の会社によって監査済みです。(監査レポート)
Nuo Network
Nuo Networkはレンディング、借入、マージントレードができるプラットフォームです。Nuoの場合はメタトランザクションという技術が使われており、貸出などのアクションに対してGASが発生しません。
詳しい方法などは以下の記事をご覧ください。
AAVE
ETHLendを運営していたAAVEによる流動性プールのDefiです。借入金利を安定型と変動型から選択できる新しい形のDefiです。無担保で資金を借り1TXで返却するという開発者向けの「flash loan」というプロダクトも利用可能です。
MakerDao-DAI発行
MakerDaoはステーブルコインDAIを発行しています。ETHかBATを担保にしてDAIを発行(借り入れ)できます。
新しい複数担保型DAIでは資金を預けることで利息が付くようになりました。金利は定期的に変動します。
借入担保は借入額の150%以上を保つ必要があり、それを下回ると清算されて13%のペナルティが担保から差し引かれてETHが返却されます。
現在、単数担保型(SAI)と複数担保型(DAI)どちらも発行可能です。SAIの発行はCDP Portalから、DAIの発行、レンディングはOasisから行えます。
Defi管理プラットフォーム
複数のDefiを一つのインターフェイスで操作できるプラットフォームです。恐らく、現時点で以下の3つ以外に他にもたくさん存在し、今後もどんどん増えていくと思います。
InstaDAppとZerion
InstaDAppとZerionは共に「Compound」、「MakerDAO」、「Uniswap」を一つのプラットフォームで管理・利用できるサイトです。
InstaDAppでは「プロトコルブリッジ」と呼ばれる、より低い金利でDAIを借りる事ができる機能を利用できます。
DeFi Saver
DeFi Saverは「MakerDAO」「Compound」の通常機能に加えて
- DAIの追加発行と返済を自動化する「Automate CDP」
- Compound、dYdX、Fulcrumを比較して1TXで資金移動できる「SmartSavings」
- Kyber,Uniswap,Oasisの中から一番良いレートでトレードする機能
が利用できます。
自動リバランス
それぞれの金利を比較して、より良い方へ自動的に資金を移動してくれるプラットフォームです。
idle
CompoundとFulcrumのうち金利が高いほうに自動リバランスしてくれます。手数料は無料のようです。対応通貨は現在DAI,USDCです。
DAIをidleにデポジットするとIdleDAI(ERC20)を引き換えに受け取ります。
Staked-RAY
Stakedはアルトコインのステーキングを行う会社です。その中のサービスの一つにRobo-Advisor for Yield (RAY)と呼ばれる自動リバランスがあります。
RAYではCompound、dYdX、Fulcrumのうち最も金利が高い方へ自動リバランスしてくれます。対応通貨はSAI、USDC、ETHです。
ただし、公式FAQによると手数料が20%掛かるようです。
まとめ:分散型と集権型レンディングをどうやって使い分けるか?
ここまで20個以上のレンディングプラットフォームを紹介してきました。やはり、リスクを考えると、もっと分散型のプラットフォームが広まって成長していって欲しいと思います。
ステーブルコインのレンディングなら時期によっては集権型に負けないぐらい高い金利で運用できます。
しかし、BTCやETH等は集権型の金利の方が高いので、出来るだけ「保険がある所」に「分散して」利用したいところです。
2020年7月の私の利用状況
- BTCレンディング:BlockFiを利用
- ETHレンディング:BlockFiとGMOを利用
- XRPレンディング:保有無し
- ステーブルコイン:dydxとAAVEを利用
また、資金調達率を利用して「両建て」や「レバ1倍ショート」を使って運用するという考え方もあります。興味のある方は一度検討してみて下さい。
コメント
大変有用な記事をありがとうございます。招待コードでサインアップして10000CRO購入しました。
質問です。CROのステーキングは口座に置いておくだけで勝手にされるのでしょうか?もしくは手続きが必要でしょうか?
AppでもWebでもよくわかりませんでした。ご存知でしたらおおしえください。
コメントありがとうございます!CROを購入後はアプリでカードの画面からCROをステーキングする必要があります。ステーキングしてから6か月後にロックが解除されて売却可能です。ただ、リファラ状況を確認した所、おそらく既に作業完了済みでボーナスも解除されていると思います。
もし、まだステーキングしていないようでしたらこちらのCrypto.comのページを参考にしてください。
それと、10USDCをキャッシュバックさせていただきますので、問い合わせページかTwitterのDMで受け取り用ETHアドレスを教えてください。よろしくお願いします。
ご返事ありがとうございます。なるほどカードの画面から行くのですね。日本人にはカードは発行されないようなので、そこは訪れていませんでした。
早速手続きを行い、無事ステーキングされました。また、ステーキング開始6か月後に利率が上がるのではなく、即日利率が上がりました。ここは私が勘違いしていました。6か月強制ロックされるので、こういう動きになるのですね。
キャッシュバックは結構ですので:)いつも正確な情報を記載いただいているお礼です!
コメントが消えてしまったよう?なので再度投稿させて頂きます。
ブログを参考に勉強させて頂いてます。
FTXでUSDのレンディングをしており、1時間毎に金利収入があるので、
同じようにBTCも送付し、BTCでもLENDをクリックしているのですが、
何も変化がありません。(金利は付かない)
FTXではBTCのレンディングはしていないということでしょうか?
お時間あるときに、ご回答頂けたら幸いです。
こんにちは。
2つほど理由が考えられると思います。
受け取り金利の履歴はレンディングするページの「Lending History」で確認できます。
よろしくお願いします。
ご返信ありがとうございました。
単に金利が低いだけのようでした。