どうもバカルダー(@crptVaper)です。2017年から仮想通貨を始め、Nexoを実際に利用したり、サポートに何度も質問している私が、仮想通貨レンディングプラットフォーム「Nexo」の安全性とリスクについて調べました。
Nexoでレンディングするための具体的な手順や注意点はこちらをどうぞ
Nexoとは
Nexoは仮想通貨と法定通貨を借入及び貸出できるレンディングプラットフォームです。アカウント作成後、ウォレットに入金するだけで毎日年利4~10%の利息を複利で受け取れます。
Nexoのレンディング金利及び手数料
金利 | |
貸出金利 | 4~10% |
最低貸出量 | 1ドル |
複利 | 有り(日毎) |
借入金利 | 5.9~11.9% |
最低借入額 | 500ドル |
借入可能通貨 | USDT、法定通貨(45種) |
出金手数料 | 無し |
その他手数料 | 無し |
レンディング及び担保として利用可能な通貨と金利は以下のようになっています。入金額の10%以上のNEXOを保有すると金利が25%アップします。
レンディング | 金利 |
BTC、ETH | 4(5)% |
XRP、BCH、LTC EOS、XLM | 4(5)% |
ステーブル、EURO、GBP | 8(10)% |
BNB、PAXG | soon |
例えば、1000ドルを1年間レンディングすると複利のお陰で約83ドルの利息が受け取れます。
Nexoの安全性と信頼性について
Nexoという企業について調査しました。
共同設立者:ANTONI TRENCHEV
Nexoの共同設立者の一人であるANTONI TRENCHEVは2010年から7年間電子取引関連の企業で法律顧問として従事し、2014年から2年間はブルガリアの国会議員の経歴もあります。また、Nexoの母体企業であるCredissimoのアドバイザーでもありました。
また、NexoのアドバイザーにはTechCrunchやPolymathの創業者の名前もありますが、有名人をアドバイザーに起用するのはICOブームの時によくあったやり方なのでその辺りは割り引いて考える必要があります。
Nexoの母体企業「Credissimo」
Nexoの母体企業であるCredissimoは個人向けのローンを行っている企業で2007年にブルガリアで設立され、10年以上の歴史があります。現在、ブルガリア、ポーランド、マケドニア、マルタ、スペイン、コロンビアに拠点がある事がCredissimo公式サイトで確認できます。
また、Bulgarian Fintech AssociationにNexoと共にレギュラーメンバーとして掲載されています。
Credissimoの受賞歴
2017年にEuropean FinTech Awards 2017のトップ10に入賞(European FinTech Awards 2017のHPであるeurope2017.fintech.nlが既に閉鎖されているためソース確認できず)。また、Forbes Business Awards 2017で2つの賞を得ています(こちらはYahoo!financeの記事が見つかりました)
海外債権仲介プラットフォーム「mintos」にて格付け「A-」
Credissimoは日本のソーシャルレンディング「クラウドクレジット」とも提携しているヨーロッパのクラウドファンディング「mintos」にて「ローンオリジネーター」として登録されており、格付けは上から3番目の「A-」を獲得しています。(mintosのCredissimo紹介ページ )
ローンオリジネーターとは簡単に言うと「高金利で借りてくれる人」を探してくる企業です。mintos上で「貸したい投資家」と「借りたい人」を「ローンオリジネーター」を通じて仲介しています。
また、2002年に設立されたBCRA(Bulgarian Credit Rating Agency)にて、Credissimoは2019年に格付けBBBを獲得しています。
会計監査と情報セキュリティ
Nexo/Credissimo共に世界四大会計事務所である「デロイト」によって監査を受けていることを公表しています。
情報セキュリティ面では「情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)認証 (ISO/IEC 27001)を2019年に取得しています。
カストディアンはBitGo
Nexoに預け入れた資産の95%以上はBitGoのマルチシグ(複数の秘密鍵で管理)コールドウォレットで保管されます。
BitGoは米サウスダコタ州の規制当局から認可を取得している、仮想通貨の保管業者です。デロイト社のセキュリティテスト(SOC 2 Type 1及びType 2 報告書を取得)を通過しています。また、日本の取引所bitbankともセキュリティ面で提携しています。
「BitGo」の名前を使って一方的に提携を匂わせているサイトも稀にありますが、Nexoの名前はBitGoの公式サイトでも確認する事ができます。
1億ドルの保険
BitGoのコールドウォレットにはハッキングや従業員の不正行為に備え、保険プロバイダー「ロイド」が提供する1億ドルの保険が掛けられています。
Nexoのレンディング金利の出所
Nexoは機関投資家、仮想通貨取引所、仮想通貨マイニング業者、一般投資家に5.9%~11.9%の金利で貸出し、8%の金利を支払っています。
支払金利の方が低いですが、5.9%で借りるには独自通貨NEXOトークンを購入する必要があるので、そのトークン販売利益もNexoの利益の源泉になっています。
とはいえ中央集権型ですので資金の流れをリアルタイムに第三者が明確に知る事は出来ません。ただし、USDTに関してはERC20のトランザクション追跡でどのくらいのローンが利用されているかを知る事ができます。
Nexo-statisticsでUSDTローンの累計が分かる
非公式のサイトではありますが、Nexostatistics.comというサイトがNexoのUSDTアドレスを監視しており、ここで「融資されたUSDTの額」と「USDTが融資された回数」を知る事が出来ます。
2020年2月には融資の合計が累計2億ドルを超えました。ただし、法定通貨の融資は監視対象になっていない事に注意してください。
信用調査しなくても安全な理由。借手が資金を返さない場合(債務不履行) どうなる?
ほぼ全ての仮想通貨レンディングプラットフォームでは借り手に「過剰担保」が必要です。Nexoも同様に借りる金額の2倍以上の担保をアカウント内にロックしないと資金を借りる事ができません。
例えば、1000ドルを借りようと思ったら、2000ドル分の仮想通貨をNexoに預ける必要があります。
そのため、基本的に借手が資金を返さなければ、ロックされている担保が自動で売却され貸し手に元本と利息が支払われます。
要するに、Nexoから資金を借りている企業や人が「ハッキングや事業失敗」によって借りたお金を返せなくても、Nexoに預けられた余剰担保によって資産の安全性が保たれるという事です。
大事なのは借手の信用よりNexo内の担保資産の値動き
よって「誰に貸しているか?」よりNexo内に担保として預けられた資産の急変動の方が資産の安全性に影響を与えます。
例えば、BTCが短期間で50%下落するような事態が起こった場合、自動清算が間に合わずにNexoもしくは貸し手に損失が出る可能性があります。
必要なLTVやマージンコールのタイミングについては「Nexoでレンディングと借入してみた」で解説しています。
独自トークンNEXOを発行
Nexoは独自トークン「NEXO」で2018年にICOを行いました。現在の主な取引所はBINANCE DEX、Huobi Global、Bitrue、UniSwap、1inch.exchange(DEX)等です。この中だと1inch.exchangeが比較的良いレートです。
Nexoトークンを保有するメリット
NEXOを保有するメリットは以下の3点です。
- NEXOを借入の担保または返済に使用することで安く借入できる
- NEXOホルダーにプラットフォーム利益の30%が分配される
- カード利用でのキャッシュバック率優遇(予定)
安い金利で借入できる
NEXOトークンを担保に借入したり、返済に使用することで年利5.9%で資金を借入できます。また、今後NEXOホルダーにレンディング金利を優遇する予定もあります。
ホルダーに利益の30%を分配するSTO
NEXOトークンをアカウント内に保有しておくことで定期的にプラットフォーム利益の30%を配当として受け取る事ができます。ただし固定された頻度は決定されていません。
過去のデータによると2018年12月15日と2019年8月15日に年利8~9%の配当が配られました。
NEXOトークンは配当が出ますのでセキュリティトークンに分類されます。ICO前後に米国証券取引委員会(SEC)に提出されたNexoのEDGAR(SECが公開する企業の財務状況が分かるデータベース)をこちらから確認する事ができます。
Nexoカードを発行予定
Nexoではクレジットカードを発行予定で、借り入れた資金をカードで即時に利用可能にし、発行料、月額利用料、為替手数料が無料でNEXOホルダーには最大5%のキャッシュバックが得られるとMediumの記事にて発表しています。
我々日本人は使えないと思いますが、海外に居住の方には嬉しいカードになりそうです。Nexoはヨーロッパの企業ですのでその地域からスタートの予定です。
Nexoでレンディングする場合のリスク
Nexo共同設立者の経歴やCredissimoという母体企業の歴史、受賞歴、カストディアンBitGOと1億ドルの保険など、安心できる材料はいくつかありますが、決してノーリスクではありません。
特にCredissimoは大成功しているような印象を持ってしまうかもしれませんが、 ヨーロッパの中でも小国を中心に拠点があるように、決して「世界的な大企業」という訳ではありません。
ハッキングを防いでもCredissimo、Nexoが破綻すれば預け入れた資金を失ってしまう可能性もあります。
また、過剰担保の部分でも書きましたが仮想通貨(特にBTC)の短期間での大幅な下落により、Nexoや貸出顧客に損失が出てしまうリスクもあります。
NexoのHPを日本語表示した時の「100%資産保護保証」の意訳が誤解されやすい
Nexoのホームページを日本語で表示すると「100%資産保護保証」と表示されますが、英文表示にするとその部分は「100% Asset-Backed Guarantee」と書かれています。
説明文には書かれていますが、「100% Asset-Backed Guarantee」とは要するに「過剰担保によって元本が安全に保たれますよ」という意味です。日本の銀行のペイオフ制度のように破綻しても預金が保護されるという意味ではありません。
ステーブルコイン自体のリスク
これは直接Nexoとは関係ありませんが、USDT特有の信頼性リスクや、その他ステーブルコインもドルとのペッグ(1:1の割合)が崩れる可能性もあります。心配な方は「複数のステーブルコインを保有する」等の対策を行いましょう。
Nexoの金利は高いのか?
Nexoの金利8%は一般的にかなり高い金利ですが、仮想通貨レンディングとしてはどうでしょうか。同じ中央集権型レンディングのBlockFiと比べてみます。
NexoとBlockFiとの比較
Nexoは、「年利8%の毎日複利」。競合のBlockFiは「月一回複利で年利8.6%(APY)」となっています。APYとは複利をした結果の金利です。
例えば1000ドルを両社にレンディングした場合は以下のようになります。
元本$1000 | Nexo | BlockFi |
30日後 | 10006.596 | 10006.898 |
月利 | 0.66% | 0.69% |
1年後 | 1083.277 | 1086 |
年利 | 8.328% | 8.6% |
若干、BlockFiの方が有利な金利となっています。リスク分散として両者を併用してもいいでしょう。その他のレンディングとの比較の詳細は以下のまとめ記事でどうぞ。
まとめ
以上がNexoという企業の信頼性とリスクについての調査結果です。興味を持った方は、企業側の宣伝を鵜呑みにせず、自身でも調べた上でレンディングや借入を利用してみてください。
- 年利4~10%で毎日複利で利息を受け取れる
- 資金ロック無し、出金手数料やその他手数料無料
- ただし、ノーリスクではない
Nexoのレンディングや借入方法について
Nexoでのレンディングは「Nexo公式サイト」から新規登録して入金するだけで毎日年利8%が複利で貰えます。入金する以外の操作は必要ありません。
記事が長くなってしまうので、Nexoへの登録方法やレンディングの始め方、出金方法、借入方法、注意点や金利アップ検証は以下の記事で紹介します。
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